COPD(慢性閉塞性肺疾患)は「タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することなどにより生ずる肺疾患」であることから長らく,喫煙による生活習慣病の一種と考えられていましたが,近年の大規模研究の結果から,さまざまな要因でCOPD を発症することが明らかにされています。本邦には約500 万人を超える患者が潜在すると推定されていますが,一方で,多くのCOPD 患者が未診断のままとなっています。非専門医においても診療する機会が多い疾患であることから,まずは本疾患の存在を想起していただくことが肝要と考えます。また,COPD は加齢とともに増加する疾患であることから,超高齢社会を迎える本邦においてCOPD がもたらす社会的影響が危惧されています。このため医療関係者のみならず,広く国民全体が本疾患の存在を意識し,早期発見・早期治療に努めることが重要です。本疾患を取り巻く社会的な動向として,「健康日本21(第二次)」に引き続き,「健康日本21(第三次)」において,COPD が対策を講じるべき対象疾患として認定されました。本ガイドラインでも,「健康日本21(第三次)」の詳細と日本呼吸器学会が主導する取り組み(「木洩れ陽2032」プロジェクト)を取り上げていますのでぜひ,ご一読いただければと考えます。
近年の治療薬や治療法の開発によりCOPD の診療は飛躍的に進歩しました。今後もますます発展していくものと期待しています。本ガイドラインは呼吸器専門医のみならず非専門医の先生方のCOPD 治療の均霑化を目指して作成されました。本疾患の理解や診療に役立つ最新の知見が網羅されています。本ガイドラインがCOPD の診療の一助になることを願っております。
(日本呼吸器学会COPD ガイドライン第7 版作成委員会 委員長 杉浦 久敏「序」より抜粋)