実業家の堀江貴文氏が、予防医療の啓発に力を入れていることをご存知だろうか?
生き馬の目を抜くビジネスの世界。
そこを生き抜いてきた著者がたどり着いた結論。それが「健康こそ最大の投資」。
「『病気になってから治療する』よりも『病気にならないように予防する』ほうが、人生にとってお得」ということである。
しかし、インセンティブが見えにくい予防医療は、大多数の人にとってモチベーションが上がらない。医師がどんなに「食生活に気を付けてください」「適度な運動をしましょう」と言っても、なかなか守れないのが現実だ。
そんな現状に、堀江氏は「アプローチのやり方が悪いのでは?」と考えた。同じような考えを持つ医療関係者を集めて、一般社団法人予防医療普及協会を立ち上げた。
そこでは、ピロリ菌の除菌による胃がん予防キャンペーン「ピ」や、糖尿病の恐ろしさを啓発するドキュメンタリー映画「糖尿病の不都合な真実」など、従来の医学界にはない、斬新なアプローチ方法で予防医療の意義を情報発信している。
予防医療に関する著書も上梓している堀江氏。
本書では「お金」という新たな切り口で、予防医療を論じることに挑戦した。
「予防医療を実践すれば、どれくらいお金を得するか?」という視点だ。
取材したテーマは「人間ドック」「胃カメラ・大腸カメラ」「無痛乳がん検診」「がん免疫療法」「総合診療医」「ポリファーマシー」「ライフスタイルセンシング」「VRリハビリ」「医療DX」と、幅広い分野に及ぶ。
取材した9人の医師の専門的知見と堀江氏の大胆な主張は化学変化を起こし、「予防医療の経済効果は非常に大きい」という興味深い結論を導いた。
日本の医療費は2023年度で47兆3000億円。同年度の国家予算(一般会計)114兆3812億円の40%を超えている。加えて、過去5年間で、平均2.1%の上昇を続けている。
予防医療は病気になることを防ぐことで、医療費の膨張に歯止めをかける効果もある。予防医療に取り組むことで健康になり、それが国の政策に良い影響を与えられるとすれば、一挙両得ではなかろうか?
本書を一読すれば、「予防医療がどれだけお金の面でお得なのか?」を理解して頂けるはずだ。
1人でも多くの人が予防医療の経済的価値に気づき、予防医療を実践してもらいたい。
はじめに
第1章 人間ドック×お金
【人間ドックは質が高く経済合理性のある健診】
公益社団法人日本人間ドック・予防医療協会 荒瀬康司 理事長
第2章 胃カメラ・大腸カメラ検査×お金
【胃カメラ(大腸カメラ)は「年間2万円でできる未来の自分への投資」】
東京女子医科大学消化器内視鏡科 野中康一 教授
第3章 無痛乳がん検診×お金
【乳がん検診は女性を救う「命のサブスク」】
東海大学工学部医用生体工学科 高原太郎 教授
第4章 かん免疫療法×お金
【近い将来、がん免疫療法が予防医療の一角を担う可能性は大きい】
慶應義塾大学医学部先端医科学研究所 がん免疫研究部門 籠谷勇紀 教授
第5章 総合診療医×お金
【総合診療医は未病の救世主となり得るか?】
東京大学医学部 北村 聖 名誉教授
第6章 ポリファーマシー×お金
【薬の無駄遣いは即ち医療費の無駄遣い】
神戸大学医学部 平井みどり 名誉教授
第7章 ライフスタイルセンシング×お金
【スマートウォッチを超える健康管理システムが出現した】
奈良県立医科大学MBT研究所 梅田智広 研究教授
第8章 VRリハビリ×お金
【VRリハビリは介護予算を年間約18兆円も削減できる⁉】
島根大学地域包括ケア教育研修センター 原 正彦客員教授
第9章 医療DX×お金
【医療DXは予防医療のアクセルとなり得る】
デジタルハリウッド大学大学院 加藤浩晃 特任教授
おわりに