David C. Borshoff先生が書かれた『蘇生危機管理マニュアル』は『麻酔危機管理マニュアル』の続編です。
『麻酔危機管理マニュアル』では麻酔管理中のさまざまな危機的状況に関する診断と対応について記載されていましたが、本書では救命救急センターや集中治療室での状況を想定して書かれています。David C. Borshoff先生とは2017年東京で開催された日本臨床麻酔学会第37回大会で知り合い、その後親交を深めさせていただいています。2019年1月にシドニーで開催された気道管理に関するセミナーで再会し、その際に新たな危機管理マニュアルを執筆されたことを伺い、日本語版の翻訳を進めてまいりました。
本書は前書と同様に、航空危機管理マニュアルに似たスタイルの書籍(リング綴じ製本)で、救命救急センターや集中治療室で危機的状況に陥った際に、迅速かつ容易に必要な情報を得ることのできるような工夫(見やすい目次とめくりやすいページ)がなされています。パイロットのライセンスをもち、手術室、救命救急センター、集中治療室などでの百戦錬磨の経験をもつDavid C. Borshoff先生ならではの危機管理マニュアルです。
是非、本書を救命救急医や麻酔科医のみならず、医療に携われる多くの医療者の蘇生の危機管理対応に役立てていただきたいと思います。
最後に、『蘇生危機管理管理マニュアル 日本語版』の発刊にご協力いただいた多くの方々に感謝申し上げます。
(山口重樹「序文」より)
危機の手順 | SECTION 1 目次
・CARDIOVASCULAR
アナフィラキシーショック
大動脈解離
心原性ショック
一般的な緊急高血圧症
特殊な緊急高血圧症
大量出血
広範肺塞栓症
敗血症性ショック
原因不明の低血圧 +(RUSH)
・RESPIRATORY AIRWAY
交感神経性急性肺水腫(SCAPE)
人工呼吸器の故障
輪状甲状靱帯切開
挿管困難
大量喀血
後方の鼻出血
喘息重積発作
気管切開合併症
危機の手順 SECTION 2
・NEUROLOGICAL
急性脳虚血発作
興奮性せん妄
頭蓋内圧上昇(脳ヘルニア)
てんかん発作重積状態
頭蓋内出血 くも膜下出血 脳内出血
原因不明の昏睡
・METABOLIC ELECTROLYTES DRUGS
偶発的低体温症
高カリウム血症
局所麻酔薬中毒 LAST
重症低ナトリウム血症
甲状腺クリーゼ
薬物中毒による徐脈
・TRAUMA
熱傷
多数傷病者事故 MCI
多発外傷
・OBSTETRICS
死戦期帝王切開
分娩後出血 PPH
早急な出産 新生児蘇生
・危機の管理
コンテンツ
バルーンタンポナーデ 上部消化管出血
心電図とPCIの適応
ECMOの適応
必要不可欠な処置 側方外眼角切開,心膜穿刺,陰茎穿刺
高いピーク圧 従量式換気
迅速導入気管挿管(RSI)
緊急意識下挿管
循環動態が不安定なときの気管挿管
神経保護的な気管挿管
気管挿管後のチェックリスト
心停止後の管理
経静脈的ペースメーカー挿入