がん患者の管理に栄養が重要であることは広く認識されていますが,今までわが国ではがん専門の栄養士の制度が整っておりませんでした。
そこで平成26(2014)年1月より日本病態栄養学会では「がん」の病態と栄養管理・栄養療法に対して高度な知識と技術を習得した「がん病態栄養専門管理栄養士」の認定事業が始まっております。これに合わせて「がんの病態と栄養管理・療法」に関する知識を習得するために,本ガイドブックの作成発行がなされることとなりました。
本書は,日本国内のデータを元にした初の「がん病態栄養」の教科書であり,原稿を作成いただきました先生方には日頃のご診療・研究等お忙しいところ大変なご尽力をいただき,立派なガイドブックを作成することができ心より御礼申し上げます。
今後,このガイドブックが,がん病態栄養専門管理栄養師ならびに資格取得を目指す「病態栄養認定管理栄養士」をはじめ,一般の栄養士や医師,研修医,看護師など,多くの方々のお役に立つことを祈念いたします。
(加藤章信「あとがき」より)
総論 がんの臨床に関する一般知識
第1章 各種がんの疫学,臨床所見,診断,合併症,予後などの一般知識
(1)成人のがん
(2)食事・発がんリスクとがん予防
第2章 がん対策基本法とがん対策推進基本計画等政策について
第3章 がん診療に必要な倫理的な事項
第4章 外科治療,放射線治療,薬物療法の特徴と集学的治療
(1) 化学療法の栄養面でのかかわり
(2) 放射線療法における栄養の意義
(3) 腫瘍外科治療における栄養介入
(4) 造血幹細胞移植における栄養療法
(5) がんに伴う栄養関連症候群に対する薬理学的な管理法
第5章 がん治療法における副作用とその対応
第6章 がんの栄養代謝
(1)がんにおける糖質,脂質,蛋白質代謝
(2)エネルギー・三大栄養素・微量栄養素・水の必要量
第7章 栄養アセスメント・モニタリング:臨床腫瘍学における栄養スクリーニングとアセスメント
第8章 がんの栄養療法
(1)がんの栄養療法の概要
(2)成人がん患者における経腸栄養
(3)-A.腫瘍内科学における静脈栄養療法
(3)-B.腫瘍外科学における静脈栄養療法
(4)栄養とがん生存者
第9章 がん治療と代謝異常,その栄養管理
第10章 がんの在宅ケアの動向;在宅栄養
第11章 慢性期におけるがん患者の栄養管理
第12章 腫瘍学における臨床研究
(1)がん臨床試験の方法論と研究倫理
(2)補完代替医療,サプリメント
各論 各種がんの基礎知識と栄養管理
第1章 食道,頭頸部がん;治療の基礎知識と栄養管理
第2章 胃がんの栄養管理
第3章 大腸がん;治療の基礎知識と栄養管理
第4章 肝・胆・膵がん;治療の基礎知識と栄養管理
第5章 乳がん;治療の基礎知識と栄養管理
第6章 子宮頸がん,卵巣がん;治療の基礎知識と栄養管理
(1)子宮頸がん
(2)卵巣がん
第7章 血液がん;治療の基礎知識と栄養管理