書籍
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2014.04.02 発売
一般臨床医のための
うつ病診療エッセンシャルズ
定価 3,080円(本体2,800円+税)
発行形態 A5判 / 136ページ
ISBN 978-4-7792-1252-9
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3,080 (税込)
内容紹介

近年,うつ病患者数の急激な増加に見られるように,うつ病診療を取り巻く環境は大きく変わった。受診者の大幅な増加に伴ってプライマリケアを訪れる機会が増えたこと,比較的,副作用の発現が少ない新規抗うつ薬が相次いで上市され,プライマリケアにおいてもうつ病治療に取り組みやすくなったことから,うつ病診療のすそ野が広がりをみせている。また,自殺者数が毎年3万人前後で推移し,自殺の背景としてのうつ病の存在がクローズアップされるに及び,政府の自殺総合対策大網においてうつ病医療対策が重点施策に位置づけられ,プライマリケア医のうつ病診療力を高める取り組みが展開されていることもこうした流れを加速した。一方で,うつ病の診断に汎用されているDSM-Ⅳにおいて症状の多寡や持続期間に基づいて診断することができる“操作的診断システム”を採用していることから,ともすればうつ病像の詳細な評価・検討がなされないままに,安易に“うつ病”とみなしてしまう過剰診断の弊害も指摘されている。

このような現状を鑑み,プライマリケアにおけるうつ病診療の向上を図る観点から,本書を企画した。本書では,うつ病の病像・病態についての理解を深められるよう伝統的な精神医学を踏まえた疾患解説を行うとともに,うつ病の診断とサブタイプの特定および他疾患との鑑別,抗うつ薬の選択と治療アプローチをどのように進めればよいかについて,わかりやすい解説を心がけた。特に,プライマリケアにおいて遭遇しやすい身体疾患に合併したうつ病について,薬剤選択と治療上のポイントにも焦点を当てた。多忙なプライマリケア医の先生方に,診療の合間に目を通していただけるよう,見開きを単元とした読み切り構成としたほか,図表をふんだんに盛り込んで理解の一助となるよう工夫を凝らしたのも本書の特徴の1つである。

本書により,一般臨床医の先生方のうつ病診療力が高まり,見逃されがちであったうつ病患者への適切な治療介入を促し,多くの患者が寛解・回復に至ることができれば,著者としてこれに勝る喜びはない。


染矢俊幸

(「はじめに」より)

目次

Prologue なぜプライマリケアでのうつ病診療が重要なのか

1.プライマリケア医がうつ病を診る意義とは①―プライマリケアに潜むうつ病

2.プライマリケア医がうつ病を診る意義とは②―身体疾患に高頻度に合併するうつ病

3.プライマリケア医がうつ病を診る意義とは③―うつ病が身体疾患に及ぼす影響

4.プライマリケア医がうつ病を診る意義とは④―うつ病による自殺の予防


Chapter 1 うつ病はどのような疾患か

1.うつ病とはどのような疾患か①―気分障害の疾患概念

2.うつ病とはどのような疾患か②―うつ病における症状の特徴

3.うつ病とはどのような疾患か③―うつ病の経過と予後

4.うつ病とはどのような疾患か④―成因に基づく分類とDSM-Ⅳの操作的診断基準

5.うつ病とはどのような疾患か⑤―大うつ病性障害の定義とそのサブタイプ

6.うつ病とはどのような疾患か⑥―気分変調性障害の定義と大うつ病性障害との差異

7.うつ病とはどのような疾患か⑦―伝統的な精神医学とDSM-Ⅳにおけるうつ病分類:1

8.うつ病とはどのような疾患か⑧―伝統的な精神医学とDSM-Ⅳにおけるうつ病分類:2

9.うつ病とはどのような疾患か⑨―病前性格と人格統合水準のうつ病発症への影響

10.うつ病とはどのような疾患か⑩―DSM-Ⅳでは捉えられないうつ病のサブタイプ

11.うつ病とはどのような疾患か⑪―気分障害スペクトラムとしてのうつ病

12.うつ病とはどのような疾患か⑫―抑うつと不安の併存(Comorbidity)

13.うつ病とはどのような疾患か⑬―高齢者のうつ病

14.うつ病とはどのような疾患か⑭―女性のうつ病

15.うつ病の病態はどのようなものか①―モノアミン仮説と神経伝達物質受容体仮説

16.うつ病の病態はどのようなものか②―モノアミン神経の機能異常と相互作用

17.うつ病の病態はどのようなものか③―モノアミン神経の機能異常とうつ症状との関連

18.うつ病の病態はどのようなものか④―モノアミン神経系の機能異常に対応した病像モデル


Chapter 2 うつ病をどのように診断するか

1.うつ病をどのように診断するか①―うつ病の診断フローチャート

2.うつ病をどのように診断するか②―うつ病のスクリーニング

3.うつ病をどのように診断するか③―うつ病診断のための問診の仕方

4.うつ病をどのように診断するか④―うつ病の重症度評価

5.うつ病をどのように診断するか⑤―うつ病患者の自殺リスクの評価

6.うつ病をどのように診断するか⑥―身体愁訴の背後に潜むうつ病(仮面うつ病)

7.うつ病をどのように診断するか⑦―メランコリー型と非メランコリー型の特定

8.うつ病をどのように診断するか⑧―高齢者のうつ病の診断と血管性うつ病の概念

9.うつ病をどのように診断するか⑨―女性のうつ病の診断

10.うつ病をどのように鑑別するか①―うつ病と適応障害との鑑別

11.うつ病をどのように鑑別するか②―仮面うつ病と身体表現性障害,心身症との鑑別

12.うつ病をどのように鑑別するか③―うつ病と不安障害との鑑別と併存の評価

13.うつ病をどのように鑑別するか④―単極性うつ病と双極性うつ病との鑑別

14.うつ病をどのように鑑別するか⑤―仮性認知症と認知症,抑うつとアパシーとの鑑別

15.プライマリケア医はうつ病をどこまで診るべきか―精神科医に委ねるべき病像


Chapter 3 うつ病をどのように治療するか

1.うつ病をどのように治療するか①―患者との良好な治療関係の構築と薬物療法のフローチャート

2.うつ病をどのように治療するか②―急性期における治療のポイント:1

3.うつ病をどのように治療するか③―急性期における治療のポイント:2

4.うつ病をどのように治療するか④―寛解率および服薬継続率と再発率との関連:1

5.うつ病をどのように治療するか⑤―寛解率および服薬継続率と再発率との関連:2

6.うつ病をどのように治療するか⑥―回復期治療および維持期治療のポイント

7.うつ病をどのように治療するか⑦―身体疾患合併患者のうつ病治療のポイント

8.うつ病をどのように治療するか⑧―高齢者のうつ病治療のポイント

9.うつ病をどのように治療するか⑨―周産期女性のうつ病治療のポイント

10.抗うつ薬はどのように作用するのか①―抗うつ薬の作用機序

11.抗うつ薬はどのように作用するのか②―効果発現まで時間がかかる理論的根拠

12.抗うつ薬はどのように作用するのか③―抗うつ薬開発の変遷

13.抗うつ薬はどのように作用するのか④―抗うつ薬の副作用と有害事象

14.抗うつ薬はどのように作用するのか⑤―SSRIの薬理学的特性

15.抗うつ薬はどのように作用するのか⑥―SNRIおよびNaSSAの薬理学的特性

16.抗うつ薬はどのように作用するのか⑦―新規抗うつ薬で注意すべき副作用

17.どの抗うつ薬を選択すべきか①―抗うつ薬の薬剤選択における基本的考え方

18.どの抗うつ薬を選択すべきか②―有効性と忍容性を考慮した選択

19.どの抗うつ薬を選択すべきか③―病像に対する薬理作用に基づいた選択

20.どの抗うつ薬を選択すべきか④―副作用と薬物相互作用に基づいた選択

21.どの抗うつ薬を選択すべきか⑤―代謝および循環器系への影響を考慮した選択

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