<< 一覧に戻る

てんかんからみる人物の横顔~異論異説のてんかん史~

第6回 ユリウス・カエサル

松浦雅人

Epilepsy Vol.3 No.2, 71-74, 2009

「知性, 説得力, 肉体的耐久力, 自己制御能力, 持続する意志 カエサルだけが指導者に求められる資質のすべてをもっていた」 「はじめに」英語読みではジュリアス・シーザーであるが, 母語でローマ帝国の公用語であったラテン語ではユリウス・カエサルと発音する. 最近では高校の教科書でもユリウス・カエサルを採用しているので, ここではこれに倣った. ローマ共和政末期に生き, 地中海全域を掌握し, 数々の改革を断行し, 強力な権力を手中にし, 都市国家であったローマを世界帝国とする礎を作った不世出の英雄である. 天才的な政治家, 軍人, 弁舌家, 文筆家であり, 人類が生んだ最大の偉人とも評される. 歴史家だけでなく, 哲学者, 芸術家, 小説家など多くの人々を魅了し続けている. 紀元前100年(102年という説もある)に生まれ, 紀元前44年3月15日55歳で暗殺された. およそ100年後の歴史家プルタルコス(紀元50~125年)の『英雄伝』1)や, スエトニウス(紀元69~126年)の『皇帝伝』2)には, カエサルが最後の2年間にてんかん発作を数回生じたと書き残されている.

記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。

メールアドレス

パスワード

M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。

新規会員登録

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る