食道癌は,がんによる総死亡者数のうち世界で6番目に多く毎年新たに44万2,000人が罹患し,ほぼ同数の患者が死亡すると推計されている1).組織学的には扁平上皮癌と腺癌に大別され,前者は食道癌全体の約70%を占め,中・東アジアに多く,年々減少傾向にある1).後者はバレット食道に起因するとされ,とくに欧米に多く,近年急激にその数を増やしている1).
食道癌は,膵癌や非小細胞肺癌などのほかの難治性がんと同様に早期発見が困難で,根治手術後も高率に再発し予後不良(術後5年生存率15~40%)であることから,あらゆる病期の分子病態に基づいた定量的な発がんリスク診断とがんの存在診断,外科治療と集学的治療(化学療法・放射線療法・免疫療法)の適切な選択指標となるバイオマーカーの開発が急務である1-4).
食道癌は,膵癌や非小細胞肺癌などのほかの難治性がんと同様に早期発見が困難で,根治手術後も高率に再発し予後不良(術後5年生存率15~40%)であることから,あらゆる病期の分子病態に基づいた定量的な発がんリスク診断とがんの存在診断,外科治療と集学的治療(化学療法・放射線療法・免疫療法)の適切な選択指標となるバイオマーカーの開発が急務である1-4).