肺高血圧症(PH)は様々な原因から発症し,若年でさえ生命の危機に脅かされる疾患である。PHは息切れ,運動耐容能の低下,心理的苦痛などから,健康に関連する生活の質(HRQoL)の低下をもたらす。一部の慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)を除き根治は難しく,治療目標は生存期間の延長,症状の緩和,HRQoLの改善となるのが一般的である。したがって,実臨床および学術研究においてもHRQoLを正確に定量できる評価法が望まれている。信頼性の高いHRQoLデータを蓄積するには,短くシンプルで,PHが患者の生活に与える影響を正確に測定できる質問項目が必要である。PHで使用されるこれまでのHRQoLに関する質問票は,CAMPHOR,SF-36Ⓡ,MLHFQなど多次元な評価が多い。これらは有効性と信頼性を実証されているものの,臨床的有用性は限られ,その多次元性が各項目の重みづけをより複雑化させている。本研究の目的は,多施設共同研究で多くの患者を集め,HRQoLを評価するためのスコアが解釈しやすい,疾患固有の質問票の開発および有効性の評価である。
海外文献紹介
臨床 emPHasis-10:肺高血圧症における健康関連生活の質測定法の開発
掲載誌
Pulmonary Hypertension Update
Vol.6 No.1 62-63,
2020
著者名
平敷 安希博
記事体裁
連載
/
抄録
疾患領域
循環器
/
高血圧
診療科目
循環器内科
媒体
Pulmonary Hypertension Update
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。