甲状腺分化型癌である乳頭癌は進行の速度が遅く,比較的予後の良い癌とされている。とりわけ,甲状腺微小乳頭癌は腫瘍径が10mm以下の腫瘤を指し,その存在は発見される甲状腺癌の約40%に及ぶとされる。甲状腺微小癌のほとんどの症例で触診では触知することがないため,臨床上発見することは困難な癌である。近年,超音波検査の発達により腫瘍径が小さい腫瘤が発見される機会が増加したことに加えて,超音波ガイド下穿刺細胞診で診断技術の向上により微小癌の診断がつけられるようになった。通常,微小癌は病状の進行が遅く,良好な経過を辿る1)2)。とりわけ,微小癌における癌関連死は稀である。それゆえに診断時にリンパ節転移を伴わず,甲状腺被膜外浸潤,遠隔転移の可能性がない低リスクの微小癌は臨床的に重大な問題となることは少ない癌と考えられ,患者への十分な説明を行ったうえで,積極的な手術を行わず,経過観察を行うという選択肢もみられる。
本企画は問題点をクローズアップすることを目的としており,テーマに対してあえて一方の見地に立った場合の議論であり,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません。
・成り立つという立場から ─疫学的見地からみた考察─/武部晃司
・成り立たないという立場から/矢野由希子 ほか
・両論文に対するコメント/伊藤康弘
本企画は問題点をクローズアップすることを目的としており,テーマに対してあえて一方の見地に立った場合の議論であり,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません。
・成り立つという立場から ─疫学的見地からみた考察─/武部晃司
・成り立たないという立場から/矢野由希子 ほか
・両論文に対するコメント/伊藤康弘