上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん(non-small-cell lung cancer;NSCLC)に対する標準治療はEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)である。日本ではEGFR-TKIとして第1世代のゲフィチニブとエルロチニブ,第2世代のアファチニブが承認されている。1次治療の第1/2世代EGFR-TKIの奏効割合は56~74%,無増悪生存期間(PFS)中央値は9.2~13.1ヵ月と報告されている1)-6)。プラチナ製剤併用化学療法より長いPFSが得られるが,ほぼ全例で耐性をきたす。耐性機序の半分程度は耐性変異であるT790M変異が関与していると報告されている7)。オシメルチニブは第3世代のEGFR-TKIであり,EGFR遺伝子の感受性変異のほか,T790M変異を有するNSCLCにも感受性を示し,EGFR遺伝子変異のない細胞に対する作用が少ないという特徴を有する。