近年，心的外傷後ストレス障害（PTSD）をはじめとするトラウマ関連障害において，起因となるトラウマの多様性やその長期的な病態への影響の大きさから，疾患に対する臨床的関心が高まりつつある．また，難治化・遷延化する精神疾患の背後にPTSDやトラウマ関連障害が潜んでいる可能性も指摘され，治療介入の観点からもトラウマへの関心は高まってきている．特に，PTSDでは抑うつ症状が高頻度に認められることから，気分障害臨床においても見逃せない．今回のアンケート調査では，「PTSDと抑うつ」をテーマとしてPTSDの臨床の現状と診断・治療に関するさまざまな課題についての見解をうかがった．