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糖尿病専門医に役立つ臨床トピックス
EASD/ADA Position Statementをどう捉えるか?―日本における2型糖尿病治療の現状と課題を踏まえて―
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- 掲載誌
- Diabetes Horizons -Practice and Progress- Vol.2 No.1 48-53, 2013
- 著者名
- 植木 浩二郎
- 記事体裁
- 連載 / 全文記事
- 疾患領域
- 糖尿病
- 診療科目
- 一般内科 / 循環器内科 / 腎臓内科 / 糖尿病・代謝・内分泌科 / 神経内科 / 小児科
- 媒体
- Diabetes Horizons -Practice and Progress-
EASD/ADA Position Statementのポイント―画一化した治療への反省から―
―2012年4月にEASD/ADA Position Statement 1)が発表された背景はどのようなものでしょうか。
それまで2009年に発表されたEASD/ADA Consensus Statement 2)が一般的に欧州糖尿病学会(EASD)と米国糖尿病学会(ADA)が推奨するガイドラインと捉えられていました。そこで示されたアルゴリズムでは,生活習慣への介入に加えてメトホルミンで治療開始し,STEP 2として基礎インスリンかSU薬を加え,STEP 3として強化インスリン療法を行うのが“Tier 1”(Well-validated core therapies),STEP 2としてピオグリタゾンかGLP-1受容体作動薬を加えるのが“Tier 2”(Less well-validated therapies)とされました。インスリン抵抗性とインスリン分泌能低下が2型糖尿病の主な病態ですが,欧米人患者ではインスリン抵抗性が強いので,インスリン抵抗性改善系のメトホルミンで治療開始することにはそれなりの根拠があったと思います。
2012年にEASD/ADA Position Statement(以下,ステートメント)という形でEASD/ADAによる治療方針が改訂された背景には,新たな薬剤が登場したことと並んで,ACCORD 3)やADVANCE 4),VADT 5)といった大規模臨床試験の結果とそのメタ解析 6)が発表されたことが大きいと思います。これらの試験では,メトホルミンで開始しインスリン,SU薬といった薬剤を追加してHbA1c 6.4%未満を目指す治療によって,細小血管障害は抑制されましたが,心血管イベントは抑制せず,ACCORDでは死亡率が増加する結果となりました。
血糖コントロールの方法や対象患者の選び方に問題があったのかと様々な反省が行われましたが,結局のところ,ベネフィットとリスクを考慮すると画一的な治療ではうまく行かないのではないかという疑問が生まれたのだと思います。強化治療によってHbA1cは低下し,細小血管障害は抑制され,メタ解析では非致死性心筋梗塞の発症を抑制することはわかりましたが,死亡率は減少していませんでした。また,低血糖や体重増加といった糖尿病治療のリスクが改めて注目され,多剤併用による副作用の重積,服薬コンプライアンスの低下といった問題も指摘されました。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。
