Answer
「はじめに」膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm;IPMN)は,1980年に大橋ら1)によって初めて報告された膵嚢胞性疾患で,膵上皮性腫瘍性病変(pancreatic intraepithelial neoplasia;PanIN)や粘液性嚢胞性腫瘍(mucinous cystic neoplasm;MCN)と同様に膵癌の前駆病変である。2006年に国際診療ガイドライン初版が刊行され2),2012年には多くのエビデンスに基づいた改訂が行われ,その疾患概念の認知度は高まっている3)4)。IPMNの中でも特に分枝型IPMNの多くが経過観察可能な非悪性腫瘍で,改訂版ガイドラインでは新たに細分化された診療アルゴリズムが示された。その中で悪性化のリスクに“high-risk stigmata”と“worrisome features”が定義され,切除適応をより厳密にする目安となった。本稿では,改訂版ガイドラインに沿って分枝型IPMNの手術適応について述べる。