Trend & Topics 日本の痛みの今
運動器の慢性痛を考える―現状と展望―
掲載誌
Practice of Pain Management
Vol.3 No.2 16-19,
2012
著者名
牛田 享宏
記事体裁
抄録
疾患領域
その他
診療科目
その他
媒体
Practice of Pain Management
打撲, 捻挫, 骨折, 神経障害, 腰痛症, これら多くの痛みは外傷や疾病そのほかさまざまな原因によって生じ, われわれを苦しめる. また, しばしばこれらの痛みは遷延し, 組織の傷害が治癒するに要する時間を経過してもなお続く場合もある. International Association for Study of Pain(IASP)では, このような長引く痛みを慢性痛(Chronic Pain)と定義している. 臨床的には急性の痛みが改善する期間(たとえば10週)を超えれば慢性痛とするということもあるが, 多くは3ヵ月~6ヵ月以上持続したものを慢性痛とするとしている. これまで長年行われてきている国民生活基礎調査では, 腰痛はほとんどの年代で最も訴えの多い疾患であり, 高齢者においては介護などに至る大きな要因となっているほか, 職業性の疾病の約60%を占め, 職種によっても異なるが1), しばしば休職などにも繋がり, 結果として医療経済的な問題も含めて(図1)大きな社会的損失をきたしている2).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。