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M-Review

【特集 大腸癌の組織発生・発育進展を再考する】

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掲載誌
大腸癌FRONTIER Vol.5 No.4 11, 2012
著者名
田中 信治
記事体裁
抄録
疾患領域
その他
診療科目
その他
媒体
大腸癌FRONTIER

1980年代後半に平坦陥凹型大腸腫瘍の存在が明らかになり, それまで大腸癌の組織発生・発育進展のメカニズムであると考えられていたMorsonとMutoらの提唱した「adenoma-carcinoma sequence (polyp-cancer sequence)」に激震が走った. そして, 大腸癌のメインルートが腺腫性ポリープの癌化なのか, de novo癌の多い平坦陥凹型腫瘍なのかについて学会で激しい議論が続いた. 大腸にも胃と同様に平坦陥凹型腫瘍が存在するという衝撃的な事実を突き止めたのは, 当時秋田赤十字病院におられた工藤進英先生(現昭和大学横浜市北部病院消化器センター教授)であるが, その後, 側方発育型腫瘍(laterally spreading tumor; LST), 特に非顆粒型病変(LST-NG)の存在も明らかになり, 大腸癌の組織発生・発育進展に関する議論はさらに発展した. それ以降, 内視鏡機器および診断学の急速な発展によって, 拡大内視鏡診断学に加えて画像強調観察(image enhanced endoscopy; IEE)など多くの先進的技術が臨床現場に登場し, 現在なお, 大腸腫瘍の質的診断学は素晴らしい発展をし続けている. そのような中で, 鋸歯状病変の病態解明も進んでおり, serrated adenomaやsessile serrated adenoma/polyp (SSA/P)などを中心としたserrated pathwayを経る病変も多く診断され, その拡大内視鏡所見の特徴像も明らかにされつつある. また, 食生活や生活習慣の欧米化によって急増し続けている炎症性腸疾患を背景にしたdysplasia/colitis associated carcinoma症例の集積も進んでおり, その内視鏡診断学も発展しつつある. さらに, 家族性大腸腺腫症やLynch症候群などの遺伝性大腸癌の病態研究も進んでいるし, 2012年には, 大腸癌研究会から「遺伝性大腸癌診療ガイドライン」も発行された. また, 種々の大腸ポリポージスの原因遺伝子同定やそれからの癌化のメカニズムも明らかになりつつある. 一方, 分子生物学やゲノム医学の急速な進歩によって, Vogelsteinの多段階発癌説以降, 前述のさまざまな組織発生・発育進展を呈するそれぞれの大腸癌および前癌病変の分子生物学的背景の解明が進んでおり, 臨床像との関係も詳細に解析され, 実際に臨床応用されている知見も少なくない. 本号では, このような背景のもと, 今後本邦の癌罹患率/死亡率ともにトップになると予測されている大腸癌の組織発生・発育進展について, 臨床と基礎との関連も力点を置きさまざまな切り口から現状の最先端の情報を解説していただくこととした. この特集号が, 大腸癌の組織発生・発育進展に関する最新情報を頭の中で整理することに役立ち, 明日からの研究や診療の手助けとなることを期待している.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

掲載誌の紹介

大腸癌FRONTIER2012年12月号(Vol.5 No.4)

大腸癌の診断・治療に携わる外科・内科・内視鏡・放射線・病理等の医師を対象とし,大腸癌を外科医や内科医のみの視点でなく,総合的な観点から検討された情報を発信し,診断や治療の進歩のみならず,分子生物学,遺伝子,病理,などを含めて,基礎研究から臨床への橋渡しを行い,さらには,海外の基礎研究・臨床のトピックスを同時並行的に伝えるべく,国際的な視点をもった雑誌を目指しています。

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