腫瘍をめぐるQ&A
Question 胃癌に対する網嚢切除の意義について
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- 掲載誌
- Surgery Frontier Vol.19 No.3 114-116, 2012
- 著者名
- 黒川幸典 / 森 正樹 / 土岐 祐一郎
- 記事体裁
- 抄録
- 疾患領域
- 消化器 / 癌
- 診療科目
- 手術・救急 / 消化器外科
- 媒体
- Surgery Frontier
「Answer」日本胃癌学会の胃癌治療ガイドライン(医師用第3版)によると, 進行胃癌に対する標準治療は, 胃の三分の二以上の切除とD2リンパ節郭清を行う手術(定型手術)と記載されている1). しかし, 1990年代まではこれに加えて網嚢切除, すなわち大網と横行結腸間膜前葉および膵被膜の切除が広く行われてきた. 網嚢腔とは, 大網, 小網, 胃後壁, 膵臓, 横行結腸間膜前葉, 胃脾間膜などによって囲まれた空間で, 肝十二指腸靱帯後面の網嚢孔によってそのほかの腹腔とつながっている(図1)2). 胃後壁など網嚢腔内に露出する腫瘍はまず網嚢腔内に散布され, 網嚢腔の腹膜表面に微小転移や微小浸潤をきたすと考えられていたため, 網嚢腔表面を覆う腹膜を切除することにより, 腹膜再発を予防する方法が考案され実施されてきた3)4). 一方, 網嚢腔は密閉された空間ではなく, ウィンスロー孔で腹腔に通じていることや, 幽門側胃切除術では完全な網嚢切除は困難であることなどから, その効果については疑問視する向きもあり, 腹膜播種や局所再発を本当に減少させるかどうかのエビデンスがないまま慣習的に行われてきたのが現実である.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。
