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第18回 時間治療の基礎
掲載誌
THE LUNG perspectives
Vol.23 No.2 74-77,
2015
著者名
藤村昭夫
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
/
呼吸器
/
消化器
/
アレルギー・免疫
/
膠原病・リウマチ性疾患疫
/
神経疾患
/
脳血管障害
/
皮膚疾患
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
呼吸器内科
/
アレルギー科
/
リウマチ科
/
消化器内科
/
皮膚科
/
神経内科
/
耳鼻咽喉科
媒体
THE LUNG perspectives
「Ⅰ.生体リズム」地球上に住むさまざまな生物には約24時間を1周期とする生体リズムが存在し,体内の恒常性維持に重要な役割を果たしている。ヒトを含めた哺乳類では,視神経が交差する近くに存在する視交叉上核(suprachiasmatic nucleus;SCN)に生体時計があり,約24時間の時を刻んでいる。さらに,多くの末梢組織にも生体時計があり,中枢からの情報が伝えられるとともに,外部の刺激が末梢組織の生体時計に直接加わり,これらが統合されて生体リズムが形成されている。SCNや末梢組織にある生体時計の関与によって,生理機能のみならず疾患の発症や症状の増悪に日内リズムを認めることがある。たとえば表1に示すように,①胃酸分泌は就寝中に最大になることが多く,そのために消化性潰瘍は夜間に増悪しやすいこと,②気管支径は深夜に最も細くなるため,気管支喘息発作は明け方に起こりやすいこと,さらに③明け方には交感神経活性の亢進や血圧の急激な上昇,および線溶能の低下が生じるために心筋梗塞や脳梗塞が生じやすいことなどが知られている。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。