これまでに代表的な薬物取り込み型トランスポーターとしてSLC22SLCOファミリーに属する遺伝子が, また薬物排出型トランスポーターとしてSLC47ABCファミリーに属する遺伝子が同定されている。これら薬物トランスポーターは,肝臓・腎臓・小腸に高く発現し,機能的に連携しながらさまざまな薬物の細胞内取り込みや細胞外への排泄を担っていることから,薬物の吸収・分布・排泄を規定する重要な因子と考えられている。したがって,遺伝子多型や薬物間相互作用により薬物トランスポーターの機能・発現量に変動が生じれば,基質薬物の動態挙動や効果・副作用発現も大きく変動する。そのため,肝腎排泄機能低下が疑われる患者や高齢者への治療時,薬物トランスポーターの基質・阻害薬の併用時などでは,薬物の体内動態の挙動およびそれに伴う効果や副作用の発現変動に注意する必要がある。
「KEY WORDS」有機アニオントランスポーター,有機カチオントランスポーター,ABCトランスポーター,胆汁中排泄,尿中排泄,消化管吸収