【特集 肺高血圧症―日本から何が発信できるか】
総論
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- 掲載誌
- CARDIAC PRACTICE Vol.24 No.1 18-19, 2013
- 著者名
- 中西宣文
- 記事体裁
- 抄録
- 疾患領域
- 循環器 / 高血圧 / 呼吸器 / 膠原病・リウマチ性疾患疫
- 診療科目
- 循環器内科 / 心臓血管外科 / 呼吸器内科 / 膠原病科 / リウマチ科
- 媒体
- CARDIAC PRACTICE
新春あけましておめでとうございます. 昨年2012年は, 3.11東日本大震災の余波が収まらないままに始まり, 原発問題は解決の目途がたたず, 外交問題の多発や年末の総選挙などで慌ただしく過ぎましたが, 一方で山中教授のノーベル医学・生理学賞の25年ぶりの受賞など喜ばしい話題もあり, 記憶に残る1年間であったように思います. 本年こそ, 心静かに医療に専念できる年となるよう祈念しております. さて, すでにご承知の先生方もいらっしゃると存じますが, 5年ごとに開催されている肺高血圧症ワールドシンポジウムが本年2月に南仏のニースで開かれます. このワールドシンポジウムでは, 毎回世界の専門家が集合し, 肺高血圧症臨床分類の再検討や新たな治療ガイドラインが討議されるため, 2013年は肺高血圧症の分野では1つの大きな節目となる年であります. そして近年, 治療ガイドラインの作成においては質の高いエビデンスを基礎とすることが重視され, 質の高いエビデンスとは複数の大規模ランダム化比較試験(RCT)やメタアナリシスから得られたエビデンスを意味しています. 残念ながら, このニースの肺高血圧症ワールドシンポジウムにおける治療ガイドラインの討議には, わが国の研究者は参加を許されていないようです(参加されている先生がいらっしゃいましたら大変申し訳ありません). これはわが国からは, ガイドライン作成に資する独自のRCT結果を発表できていないことが1つの理由と思われます. また, わが国でこのようなエビデンスを作ることが困難な理由は, 肺高血圧症は稀少疾患でありわが国1ヵ国では質の高いRCTに必要な症例数の確保が困難なことや, 国民皆保険の結果として良質な肺高血圧症治療が全国で容易に受けることが可能で, 患者さんはRCTに積極的に参加するインセンティブが得られないことなどが大きな理由と考えます. では, わが国には世界に向けて発信する有意義な情報はないのでしょうか? 本誌「CARDIAC PRACTICE」24巻1号では, 「肺高血圧症-日本から何が発信できるか」というタイトルで特集を組ませていただきました. 本誌にはRCTの結果として得られる所謂エビデンスには相当しない可能性がありますが, 肺高血圧症の遺伝子解析や慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に対する新しい治療, 特定疾患治療研究事業の結果まで, 多くの貴重な論文が収載されております. 一読すれば, わが国の肺高血圧症に関する基礎・臨床レベルが決して低くはないことがおわかりいただけると存じます. 先生方の診療のご参考になれば幸いです.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。
