褐色脂肪細胞は,熱を産生して積極的にエネルギーを消費するという,そのユニークな機能から注目を集めている細胞である.転写コファクターであるPGC-1αとPRDM16は褐色脂肪細胞特異的遺伝子の転写を制御することが知られているが,その転写制御にはメディエーター複合体との相互作用が重要であることが最近の研究から明らかになってきた.細胞内のほとんどの転写制御に関与すると考えられているメディエーター複合体がいかにして褐色脂肪細胞特異的な遺伝子発現を制御するのか,PGC-1αやPRDM16の研究を通して明らかになった新たなメディエーター複合体の機能について紹介する.
「KEY WORDS」転写コファクター,メディエーター複合体,エンハンサー,転写開始複合体,褐色脂肪細胞