全文記事
脂質代謝異常と腎臓の接点
糖尿病性腎症と脂質代謝異常
掲載誌
The Lipid
Vol.21 No.2 37-41,
2010
著者名
石垣泰
/
片桐秀樹
/
岡芳知
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
高血圧
/
代謝・内分泌
/
糖尿病
/
腎臓
診療科目
一般内科
/
腎臓内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
老年科
媒体
The Lipid
[Summary]増加の一途をたどる糖尿病性腎症を管理するポイントは, 血糖と血圧の厳格なコントロールであることはいうまでもないが, 最近, 種々の脂質代謝異常が糖尿病性腎症の進展に影響していることが明らかとなりつつあり, その重要性が注目されている. 糖尿病性腎症の発症・進展には, TGF-βなどのサイトカインや接着因子の発現が重要な役割を果たしており, 酸化LDLやレムナントがこれらの発現や作用の増強因子として作用する. またいくつかの脂質異常症治療薬によって, 糖尿病性腎症の進展が抑制されることが報告されている. 今後は糖尿病性腎症の管理において, 脂質の量と質を改善する適切な脂質低下療法がさらに重要視されてくるものと思われる. 「はじめに」糖尿病性腎症により血液透析を行っている患者数は2007年度には87,835人にのぼり, 透析患者全体の33.4%を占めるまでになった. 特に新たに透析を導入される患者数は15,750人(全体の43.4%)と着実に増加し, 1998年以来その原疾患の第1位となっている1).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。