薬剤の副作用は皮膚に生ずることが多いとされている。これは皮膚が最もその変化が目につきやすい臓器だからと考えられる。しかし,これが患者,医師の両方の思い込みになって,新しい薬剤の内服を開始して起こってくる何かしらの皮膚の症状を,すぐ薬疹と決めつけたがるのは困った傾向である。そのため,一旦このような報告がなされると,ますます薬疹を起こしやすい薬剤と見なされていくことになる。SGLT2阻害薬は,まさにそのような経過で,薬疹を起こしやすい薬剤といういわれのないレッテルを貼られることになった。本稿では,そのような結末に至った過程を,冷静な目で振り返りつつ,その対応も含めて再検討してみたいと考えている。
「key words」糖尿病,SGLT2阻害薬,発汗異常,皮膚の乾燥,保湿剤