【特集 インクレチン関連薬の多面的作用の理解に向けて】
特集にあたって
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- 掲載誌
- Diabetes Frontier Vol.24 No.3 263, 2013
- 著者名
- 綿田 裕孝
- 記事体裁
- 抄録
- 疾患領域
- 糖尿病
- 診療科目
- 一般内科 / 循環器内科 / 腎臓内科 / 糖尿病・代謝・内分泌科 / 老年科 / 小児科
- 媒体
- Diabetes Frontier
長らく高血糖が糖尿病合併症の発症, 進展にかかわる最も大きな因子であると考えられ, 糖尿病診療に携わる者はその制御に向けて取り組んできた. 糖尿病患者の血糖コントロールの意義を解明しようとしたACCORD, ADVANCE, VADTなどの大規模臨床研究の結果, 合併症進展抑制における高血糖制御の重要性は一部確認された. しかし, 治療に伴う低血糖の頻度の増加や体重増加が, 血糖低下の意義を相殺してしまうことが示唆された. すなわち, 糖尿病治療における低血糖, 体重増加の回避の重要性が, 従来以上に認識されたわけである. これらの事実を受け, 現在, 低血糖になりやすさなどの患者背景により, 血糖コントロール目標をHbA1c 6%, 7%, 8%と変えることが推奨されている. 低血糖, 体重増加を回避し血糖を制御するために, 食事, 運動療法の重要性は今まで以上に, 強調されるべきである. 薬剤に関しては, 作用特性を鑑みれば, インクレチン関連製剤が, この目標を達成するためにきわめて有用であることは間違いない. インクレチン関連製剤は, 血糖依存性にインスリン分泌を促進し, グルカゴン分泌を抑制する. GLP-1受容体作動薬は食欲を抑制し, 体重増加を抑制する方向に作用する. ただ, 実際, DPP-4阻害薬を患者に投与したデータをみてみると, わずかなインスリン増加やグルカゴンの抑制しか認められないにもかかわらず, 血糖抑制効果は甚大である印象を受ける. これをどう理解したらよいのか. まだまだ作用機序に関して研究する価値があるだろう. GLP-1は, 膵島, 中枢神経での作用に加えて, その他の臓器にも作用する. われわれも含めて, 多くのグループが市販の抗体を用いて, GLP-1受容体が多くの組織で発現することを報告したが, 多くの組織でのGLP-1受容体発現のデータを打ち消すデータが本年Druckerらのグループから報告された. GLP-1の多面的作用に関しては, 今後もさらなる検討が必要である. GLP-1受容体作動薬は, GLP-1受容体のシグナルを高める. DPP-4阻害薬はGLP-1とGIP両方の作用を高め, SDF-1などのその他の基質の作用を高める. また, DPP-4自体が, その酵素活性とは独立してさまざまな細胞に作用することも明らかとなってきた. その詳細なメカニズムはまだ明らかになっていない. 新たな事実が出てくれば, 新たな疑問が生じてくる本特集が, 読者にとって現在までの知識のRenewalに役立てば幸いである.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。
