【特集 糖尿病とスポートロジー】
特集にあたって
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- 掲載誌
- Diabetes Frontier Vol.24 No.2 149, 2013
- 著者名
- 河盛隆造
- 記事体裁
- 抄録
- 疾患領域
- 糖尿病
- 診療科目
- 一般内科 / 循環器内科 / 腎臓内科 / 糖尿病・代謝・内分泌科 / 老年科 / 小児科
- 媒体
- Diabetes Frontier
"Sportology"は, 単なる"スポーツ医科学"ではなく, 身体活動をキーワードとして関連するさまざまな専門分野の深化と統合を目指す新たな学問領域, と規定した. 脳科学をはじめとする種々の基礎・臨床医学などの最新科学を有機的にブレンドし, 疾病の発症予防や治療など, 新規のacademic backgroundを形成することを目指している. そのごく一部の具体的事例が本特集では詳しく記載されている. 2011年3月の大震災後, 被害と原発事故で喪失感と不安が漂う日本に, 大きな感動と希望を広げたのは, なでしこジャパンの活躍であった. なみいる強豪を相手に, 体格には決して恵まれていない日本女子チームが優勝, スポーツには, する人だけではなく, 観戦する人のこころと意欲にも影響を及ぼす確かな力があることが実証された. なぜヒトはスポーツに熱中するのか? 脳の活性化にどのように作用するのか? この機序の解明もスポートロジーのテーマの1つであり, 期待している. 実際に脳の形態変化と機能障害をヒトにおいて正確に計測できるようになってきている. 運動不足の悪影響は成人のみではない. 小児期のスポーツ競技への参加が, 筋力の増強, 機敏さや身体バランスの向上, 脳の発達, 知覚の発達, 考えることの育成, 言語能力の発達, ルールを覚えること, 協調性の育成, 適応力などに大きな効果を発揮する. スポートロジーは小児科医, 家庭医といったプライマリケアに携わる医師のみならず教育者にも重要な分野であることを強調したい. 健常人においてすら, 身体活動の低下により, 脂肪が, 筋, 肝, 心筋など全身の種々の細胞に蓄積しやすく, 炎症や線維化などを惹起する機序が解明されてきた. 軽度, 短期間の運動不足が骨格筋委縮や骨代謝異常などを引き起こし, 種々の疾病の要因となること, 疾病の予後規定因子となることも証明されてきた. 2型糖尿病の発症機序は一例一例で異なり, かつ治療に反応して, 病態は刻々と変動する. "運動療法"は, 必ずしも負担のかかる身体活動励行を指導することではなく, 日常生活の中の慣れたことから開始し, 徐々に量を増やすべきであり, それにより実は短時間に肝や筋の糖処理能を回復していることを, 種々のその時々の臨床成績から患者に提示し, より積極的に治療に関心をもってもらうようにすべきであろう.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。
