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基礎講座 膵β細胞の再生医療
β細胞分化再生に関わる転写因子ネットワーク
掲載誌
Diabetes Frontier
Vol.21 No.5 585-591,
2010
著者名
藤谷与士夫
/
綿田 裕孝
記事体裁
連載
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全文記事
疾患領域
糖尿病
/
消化器
/
再生医療
診療科目
一般内科
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糖尿病・代謝・内分泌科
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老年科
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小児科
/
消化器外科
媒体
Diabetes Frontier
「はじめに」膵β細胞は高度に分化した機能細胞であり, そのインスリン分泌細胞としての特性は組織特異的転写因子の働きにより規定されている. β細胞は発生学的には前腸の内胚葉上皮を起源とし, いくつかの分化段階における前駆細胞の運命決定の過程を経てその最終的なβ細胞としての形質を獲得する. 主に遺伝子改変マウスを用いた解析により, その過程にはさまざまな転写因子が関わることが明らかにされてきた. その詳細は他の優れた総説に譲り, 本稿では膵β細胞の分化と機能維持に関与する転写因子群の中でも, その要(かなめ)として研究が進んでいる2, 3の転写因子の働きを例に, β細胞分化と再生に関わる転写因子ネットワークに関する研究の現況について概説する. 「I β細胞分化に関わる転写因子と糖尿病」β細胞分化に関わる転写因子の研究は, β細胞特異的遺伝子, たとえばインスリン遺伝子の発現調節機構の研究と, 膵やβ細胞の発生に関わる囚子の研究という元来独立した2つの研究の流れから発展してきた.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。