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糖尿病と口腔ケア
歯周炎症によるインスリン抵抗性の発現機序
掲載誌
Diabetes Frontier
Vol.21 No.5 549-552,
2010
著者名
大野晴也
/
浅野知一郎
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
糖尿病
/
感染症
/
その他
診療科目
一般内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
老年科
/
小児科
/
その他
媒体
Diabetes Frontier
「はじめに」歯周炎症と糖尿病との深い関わりに関しての疫学研究の報告は非常に多く, 慢性炎症に伴いインスリン抵抗性が増大するという一面と, 逆に高血糖や肥満に伴う白血球の機能低下などにより歯周病が重症化するという一面とが, お互いに影響を及ぼし合いながら負の連鎖を形成していると考えられている. 歯周炎症に伴うインスリン抵抗性の増大には, 菌体内毒素であるLPS(lipopolysaccharide)の血中への放出と, それに伴うTNF-α(tumor necrosis factor-α)などの炎症性サイトカインの増加が主に関係していると説明されている. 本稿では歯周炎症とインスリンシグナルとの関わりについて概説する. 「I. 歯周病とLPS」歯周病は歯周組織に慢性炎症が引き起こされている状態である. 歯周ポケットなどに検出される細菌は単一ではなく, Porphyromonas gingivalisに代表されるグラム陰性嫌気性菌や小型のスピロヘータなどが混合感染を起こしていると考えられている1).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。