【特集 ロボット手術の現在と未来】
特集にあたって
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- 掲載誌
- Pharma Medica Vol.30 No.10 7-8, 2012
- 著者名
- 橋爪 誠
- 記事体裁
- 抄録
- 疾患領域
- 神経疾患 / 脳血管障害 / 骨・関節 / 耳鼻科疾患 / 泌尿器
- 診療科目
- 脳神経外科 / 産婦人科 / 泌尿器科 / 耳鼻咽喉科 / 手術・救急
- 媒体
- Pharma Medica
1990年代に始まった内視鏡外科手術は, 古代より連綿と続いてきた外科治療に大きなインパクトをもたらした. これを契機に, 外科治療のあり方が, 医師中心から患者中心に, 経験ベースから客観的データベースの手術へと変わり始めてきた. すなわち, 従来のできるだけ皮膚を大きく開けて行う開胸・開腹手術から患者への侵襲や術後のQOLをより考慮した低侵襲手術へと変わり, さらに術者自らの目や手で確認しながら行ってきた手術法から間接的かつ限定的な術中の視覚情報や術前情報に基づいて手術を行う方法へと変わってきた. しかし, この変化が新たな課題を生み出し, 外科治療へ最先端のコンピュータ技術を導入するきっかけとなり, super-handやsuper-vision, さらには革新的なシミュレーション手術, ナビゲーション手術, ロボット手術への扉を開いたのである. 内視鏡外科手術は, 患者にとっては小切開で痛みが少なく, 早期退院, 早期社会復帰が可能となり福音となったが, 術者にとっては, 二次元のモニタ上に映し出される局所の視覚情報と, 皮膚を支点とした操作で動作制限を伴う長い鉗子を用いた手術となり, 大きなストレスを受けることとなった. 手術中の情報量の減少は, 新たな訓練や新しい技術革新なくしては, 従来の処置具を用いて内視鏡外科手術を続けることでむしろ安全性や確実性を脅かされかねない事態を招いたのである. これらの技術的な困難を克服する目的で開発されたのがロボット手術である. 今や, ほとんどの外科領域で内視鏡を用いた手術が普及しているが, ロボット手術においても, 各領域で研究開発が進んでいる. 全世界のロボット手術症例数の7割を占めるといわれる子宮摘出術や前立腺摘出術は, 従来の開腹術がロボット手術に取って代わられつつある. これらの手術は, 体の深部での縫合や細かな手術操作を必要とするため, 三次元画像下に手首の関節の動きを実現させたda Vinci(R)の最もよい適応である. 脳外科手術や, 耳鼻咽喉科手術, 整形外科手術では, 腹部領域に比し術中の臓器変形が少なく, かつより高い精度が要求され, ロボット手術に最先端のナビゲーション技術を導入することで, さらなる発展が期待できる. わが国の癌治療にロボット手術を普及させるには, リンパ節郭清の有効性や生存率の向上, 臓器機能や神経損傷の課題をいかに克服できるかを提示していく必要がある. 今回の特集では, これらの各領域でのロボット手術の現状と未来への可能性についてわが国を代表するロボット手術の専門家に概説していただき, 多くの方にもっと関心をもってもらうことで, わが国におけるロボット手術の発展を願うものである.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。
