Pharma Medica Vol.40 No.3 50-51, 2023 より
Cutting-edge
手術支援ロボットを用いた遠隔手術の現状と将来
遠隔手術のこれまでの現状
2001年に、手術支援ロボットを使った遠隔手術が6,000km 離れたフランス(ストラスブール)-アメリカ(ニューヨーク)間で行われた1)。2002年以降日本でも検討が開始され、2005年には福岡- ソウル、2006年と2008年には福岡-バンコクをつないで遠隔手術の動物実験が行われている。当時ロボットを使った遠隔手術は、比較的早期に実現可能な技術と考えられていた。2008年にバンコクのチュラロンコン大学と九州大学の間で行われた検討では、JGN2(Japan Gigabit Network 2)-UniNet(Inter-university network)を使用し、実験動物の手術を行っている。JGN2は30Mbpsと当時のロボットには十分な帯域確保を行っており、通信の遅延は、ロボット信号遅延が片道57.1msec、映像伝送遅延 は151.2msecであったと報告されている2)。しかし、研究に使用されていた特別な専用回線は一般には使用できず、ロボット手術そのものも一般的な時代ではなかった。それゆえ、このような技術がすぐに一般化されるには至らなかった。一方、日本国内ではロボット支援手術の保険収載、特に2018年の多くの消化器がんへの保険収載より、ロボットを使用した手術数は急速に増加した。また5Gを含む超高速回線が民間通信会社からも提供されるようになり、通信環境は大きく変化している。さらに地方の医師不足や高齢化社会により、オンライン診療の必要性が急速に増している。このような状況からロボットを使用した遠隔手術が再度脚光を浴びることとなった。


