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食中毒

食中毒というと、細菌が原因の急性胃腸炎で、気温が高くなる夏場が多い、すなわち夏が“食中毒の季節”という考え方は、もう昔の話となってしまいました。近年の傾向としては、細菌性食中毒、ウイルス性食中毒、寄生虫による食中毒が患者数・事件数とも多く、この三者を合わせると食中毒の9割を超えています。原因物質により発生時期が異なり、温度の高い季節に多いもの、乾燥した冬に多いもの、一年を通じて発生するものといった異なった傾向があり、総合的にみると、1年を通して食中毒が発生しているといえます。また、事例や患者数は少ないながらも、有害植物の誤食による死亡者が報告されているのが近年の傾向です。現在の食中毒の状況について理解を深めていただきたいと思います。
五十君 靜信 先生
東京農業大学応用生物科学部農芸化学科応用微生物学研究室 教授
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