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基礎 前立腺癌におけるクリニカルシークエンス
ESPOIR Vol.1 No.2, 15-22, 2018
臨床におけるゲノムの時代の到来を象徴するかのごとく,非小細胞癌における肺癌のNCCNガイドライン(2018年)では,すでに日常診療で5つの遺伝子解析を行ったうえでの診療が行われている。一方,前立腺癌においては,同ガイドラインでは家族歴に関する記載に止まる。そのような背景のなか,前立腺癌においてもゲノムの時代が徐々に訪れつつある。前立腺癌の特徴は,治療前の段階では体細胞変異が8%前後に止まるにもかかわらず,治療後には複数の遺伝子において60%前後に増加する点が挙げられる。アンドロゲン受容体の変異のみならず,DNA修復遺伝子であるBRCA遺伝子もPARP阻害薬の特異的な治療奏効率から注目を浴びている。経時的な組織生検に限界がある点からも,今後liquid biopsyを通したゲノム解析の重要性が示唆されている。本稿では,前立腺癌におけるクリニカルシークエンスと臨床応用の可能性などを含めてまとめてみる。
「KEY WORDS」クリニカルシークエンス,Liquid biopsy,前立腺癌,去勢抵抗性前立腺癌,遺伝子変異
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。