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特集 近年注目されている感染症

4.多剤耐性菌

鈴木里和

感染制御と予防衛生 Vol.3 No.1, 23-28, 2019

多剤耐性(multidrug-resistant:MDR)は,その言葉通りであれば1剤以上,つまり複数の抗菌薬に対する耐性を示す.しかし,多様な薬剤耐性菌の出現と蔓延が問題となるなか,臨床的に重要な抗菌薬のほとんどに耐性の場合を多剤耐性と呼ぶ一方で,同じ系統に属する複数の抗菌薬(例:いずれも第3世代セファロスポリン系抗菌薬であるセフタジジムとセフォタキシム)に耐性であっても多剤耐性と呼びうるため,異なる研究や地域別の比較が困難な状況となっていた.これらの問題に対応すべく,2012年に米国と欧州の専門家らを中心とした検討班により,MDRのほか,extensively drug-resistant(XDR),pandrug-resistant(PDR)といった耐性の程度を示す用語の基準が提案された1).その骨子としては,主に院内感染の原因となる菌種(Staphylococcus aureus, Enterococcus spp., SalmonellaShigellaを除くEnterobacteriaceae, Pseudomonas aeruginosaおよびAcinetobacter spp.)について,菌種ごとに疫学的に重要な抗菌薬の系統(category)を定めたうえで,
MDR:3種以上系統の抗菌薬に耐性
XDR:1系統もしくは2系統の抗菌薬を除き,すべての系統の抗菌薬に耐性
PDR:すべての系統の抗菌薬に耐性
としたものである.なお,S. aureusについて,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)の場合は抗MRSAセファロスポリンのセフタロリンを除くすべてのβ-ラクタム薬に耐性となるため,MDRとするとしている.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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