近年の目覚ましい研究技術の発展とともに,従来は全く解明されておらず,また注目されていなかった現象にも研究の焦点が当てられるようになった。従来は老化による生理現象の1つととらえられていた骨格筋の変化にもさまざまな状態,特異的な機序が存在することが明らかになり,加齢性変化と区別した疾患の1つとしてサルコペニアの概念が提唱されるようになった。サルコペニアの機序の解明は,加齢に伴う糖尿病,骨粗鬆症,肥満などの代謝疾患の機序解明,さらには認知症の機序解明,健康寿命の延長にもつながる。すでに超高齢化が進んでいる現代社会において,サルコペニアの病態の解明は超高齢社会の問題を解決する1つの鍵となりうる。
「KEY WORDS」骨格筋, 老化, サルコペニア, 基礎研究