原著
フレイルを合併する骨粗鬆症患者に対する人参養栄湯の治療効果:非ランダム化比較試験
日本サルコペニア・フレイル学会誌 Vol.5 No.1, 146-153, 2021
[目的]
骨粗鬆症(OP)は加齢と共に骨の脆弱性に加えてフレイルも合併する。OP薬物治療のみではOPの効果不良例を経験し,その中核はフレイルと考え,人参養栄湯(NYT)の有効性を非ランダム化比較試験で検討した。
[方法]
フレイル・プレフレイル合併OP患者40例を対象に,NYT服薬を希望した26例,服薬を拒否した14例の2群間で,下肢の運動・バランス機能の指標であるzaRitzスコア(総合得点,パワー,スピード,バランス),腰椎・股全体の骨密度の投与前及び6ヶ月後の変化量を比較した。
[結果]
zaRitzスコアの総合得点(NYT群:4.1±9.9点;非投与群:-3.8±9.8点,p=0.02),バランス(NYT群:7.6±16.4点,非投与群:-5.4±18.5点,p=0.03)はNYT群で有意に改善した。腰椎骨密度はNYT群で有意に改善(NYT群:0.014±0.027g/cm2;非投与群:-0.005±0.032g/cm2,p=0.04),股全体は改善傾向を示した(NYT群:0.008±0.023g/cm2;非投与群:-0.008±0.034g/cm2,p=0.08)。
[結論]
フレイル合併OPにおいて,NYTは下肢の運動・バランス機能,骨密度の改善をもたらす可能性が示唆された。
「KEY WORDS」骨粗鬆症,フレイル,漢方薬,人参養栄湯
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。