Paper No.1　DNAのメチル化年齢に関連した環境，生活様式および健康要因についての系統的レビューおよびメタ解析

生物学的年齢のDNAメチル化（DNAm）アルゴリズムにより，個体の生活年齢に関して確実な推定ができ，年齢関連の疾患および死亡のリスクを予測することができる．本研究では，環境，生活様式および健康要因がHorvathおよびHannumのepigenetic clockと関連しているという証拠に関してレビューした．系統的検索により61件の研究を同定した．生活年齢は，血中のDNAm年齢（中央値0.83，範囲0.13～0.99）と相関していた．DNAm年齢はフレイルと正に相関しており（3件の研究，n=3,093），教育はDNAm年齢のHannumの推定値と特異的に負に相関していた（4件の研究，n=13,955）．それ以外の曝露のほとんどについては，結果の不一致が著しく，結論を引き出すことができなかった．メタ解析では，BMIは，DNAm年齢の増加と関連していた（Hannum β：0.07，95%CI 0.04〜0.10；Horvath β：0.06，95％ CI 0.02〜0.10）が，喫煙とは関連していなかった（Hannum β：0.12，95％ CI -0.50〜0.73；Horvath β：0.18，95％ CI -0.10〜0.46）．結論として，BMIはDNAmを用いて測定した生物学的老化と正に相関しており，フレイルによって老化が進むことを示す証拠もあった．他の曝露に関する決定的な証拠を得るには，さらなる研究が必要である．この研究分野は，生物学的老化を遅らせ，最終的に健康寿命を長くするにはどうすればよいかについて，参考になる知見を提供する可能性がある．
「KEY WORDS」DNAのメチル化，生物学的年齢，教育，BMI