<< 一覧に戻る

基礎医学Up-To-Date

新規の肺高血圧症感受性遺伝子であるRNF213:遺伝子関連血管病としての肺動脈性肺高血圧症

平出貴裕片岡雅晴

Pulmonary Hypertension Update Vol.7 No.1, 38-41, 2021

肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)は肺の血管抵抗の上昇と右心不全を呈する予後不良な疾患である。近年,肺血管拡張薬の進歩によりPAH患者の予後は改善したが,PAHの大半は発症原因が不明で,根治療法がないのが現状である1)。根治療法の開発,および患者ごとの治療戦略や血縁者の発症リスクを考えるうえで,PAHの発症原因特定は重要な課題となっている。
これまで報告されたPAH発症関連遺伝子を時系列で示した(図1)。2000年,国際共同研究チームが家族性PAHの連鎖解析を行い,2型骨形成蛋白受容体(bone morphogenetic protein receptor type 2:BMPR2)遺伝子をPAH発症原因遺伝子として同定した2)。2018年には欧州のPAHコホートに属する1,000人以上のPAH患者において,PAH関連遺伝子としてATPase 13A3(ATP13A3),SRY-box 17(SOX17),aquaporin 1(AQP1),growth differentiation factor 2(GDF2)が新たに報告された3)。遺伝子解析技術の進歩に伴って多くの遺伝子バリアントが報告されたが,PAH患者の約7割は現在も発症原因遺伝子が特定されていない(図2)3)。また既報の大半は欧米諸国からの報告であることから,遺伝学的背景の異なる日本人においてPAH発症関連遺伝子の研究を行った。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る