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タイプ別肺高血圧症診療のポイント

ガイドラインにみる肺静脈閉塞性疾患(PVOD)診療のポイント

小川愛子松原広己

Pulmonary Hypertension Update Vol.5 No.2, 52-55, 2019

肺静脈閉塞性疾患(pulmonary veno-occlusive disease:PVOD)とは,肺静脈に狭窄・閉塞をきたすことにより肺血管抵抗が上昇し,肺高血圧症(pulmonary hypertension:PH)を呈する疾患である。病変の首座が異なるため,肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)とは異なる臨床像や治療反応性を示す。
古典的なPVODは,臨床的に特発性PAH(idiopathic PAH:IPAH)と診断された剖検例のうち約10%程度とされ,人口100万人あたり0.1〜0.2人程度の発症頻度で1),移植なしでの生存確率は1年75%,3年34%と報告されている2)。原因としてEIF2AK4(eukaryotic translation initiation factor 2α kinase 4)の遺伝子異常の関与が報告され,原因遺伝子からみてもPAHとの差異は明白である3)。一方,有機溶媒への曝露歴やアルキル化薬(マイトマイシンなど)の使用歴を有するPHや強皮症に伴うPAHの一部に,古典例ほどではないにせよPVODと類似の特徴を呈する例が存在することが知られてきた1)4)。長期間の治療歴を有するIPAH症例でも時間経過とともにPVOD類似の特徴を呈する例もあり(図1),PAHとPVODの両病態は同一患者において種々の程度に混在しうるものと考えられる。そのため,従来のPH臨床分類では第1´群と分類されていたPVODは5)6),第6回PHワールドシンポジウムでは静脈/毛細血管病変の明白な兆候を伴うPAHとして,第1群に再分類された7)

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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