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静脈血栓と災害医療

Pulmonary Hypertension Update Vol.3 No.2, 67-73, 2017

―災害時の血栓形成とCTEPHの関連性について教えてください。
災害時に発生する急性肺塞栓症(pulmonary embolism:PE)の主な原因は下肢の深部静脈血栓症(deep venous thrombosis:DVT)です。PEとDVTは連続した1つの病態として捉えられ,合わせて静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)と呼称されています。一方,慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension:CTEPH)は肺動脈内に発生する器質化血栓によって肺動脈が閉塞し,肺動脈圧が上昇して肺高血圧症(pulmonary hypertension:PH)の病態をきたす疾患です。CTEPHは稀な疾患と考えられてきましたが,近年は治療法の進歩によって認知度が上がり,早期診断・介入による治癒の可能性も知られるようになりました。
欧米のCTEPH登録研究1)においては,急性VTEの既往がCTEPHのリスク因子であることが報告されています。また,PE発症から半年以内のCTEPH累積発症率は1.0%であるのに対し,2年以内のCTEPH累積発症率は3.8%にのぼるとの報告もあります2)。欧米では急性PEからCTEPHへの移行が想定されていますが,日本では急性例よりも慢性例の発生頻度が高いこと,欧米に比べてDVT頻度が低いと思われてきたことなどから, 急性PEからCTEPHへの移行についてはあまり意識されてきませんでした。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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抄録