Theme 多剤併用療法が拓く肺高血圧症診療の未来 State of the Art
膠原病に伴う肺高血圧症
Pulmonary Hypertension Update Vol.3 No.1, 42-48, 2017
肺血管拡張薬の積極的な併用により,肺動脈性肺高血圧症(PAH)の予後の改善は著しいものがある。膠原病関連PAHではPAH以外の重要臓器病変の合併などのため,他のPAHに比し治療成績の改善は良好とはいいがたく,膠原病関連PAHにおける多剤併用療法の意義は慎重に評価される必要がある。膠原病関連PAHに対する多剤併用療法には,①作用機序の異なる肺血管拡張薬の多剤併用と,②免疫抑制療法と肺血管拡張薬との多剤併用の2通りがある。肺血管拡張薬多剤併用療法群と単剤療法群を比較すると多剤併用療法群で生命予後やPAHの増悪阻止において優れていることが示されている。同様に,全身性エリテマトーデスや混合性結合組織病において,免疫抑制療法と肺血管拡張薬との多剤併用療法の有用性も示されている。膠原病関連PAHの予後の改善には適切な症例への免疫抑制療法と,早期からの積極的な肺血管拡張薬の多剤併用が望まれる。
「KEY WORDS」膠原病,肺高血圧症,免疫抑制療法,多剤併用療法
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