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用語解説

mass spectrometry

川島雅央

CANCER BOARD of the BREAST Vol.7 No.1, 63, 2022

Mass spectrometry(質量分析)とは,ある試料中に含まれる化合物を質量の違いで分離し,それぞれの化合物の相対的な量を決定する分析手法である。より正確に表現すると,適切な方法で試料中の化合物をイオン化し,生成したイオンに電場や磁場をかけてイオンを質量電荷比(m/z:エム・オーバー・ジー)の違いによって分離する技術である(図1)。
質量分析は未知試料の構造決定,環境試料や薬物などの分析などが可能で,薬品の品質管理や科学捜査などさまざまな分野で活用されている。臨床医学の分野では,先天性代謝異常症のマススクリーニング,薬物のtherapeutic drug monitoring(TDM),毒物のスクリーニングなどを中心に応用が進んできた。近年,マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI:モルディー)やエレクトロスプレーイオン化法(ESI)といった新しいイオン化法や,イメージング質量分析などの新しい分析手法が開発され,複雑な高分子の分析や,化合物イメージングなどが可能となった。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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