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誌上ディベート

術後アロマターゼ阻害薬は5年か,5年以上か

「5年とすべき」とする立場から

岩瀬まどか岩田広治

CANCER BOARD of the BREAST Vol.4 No.2, 38-42, 2018

ホルモン受容体陽性乳癌は,ホルモン受容体陰性乳癌と比較して晩期再発の頻度が高いことが知られている。この晩期再発を抑制する目的で,現在標準治療として確立されている5年間の術後内分泌療法に加えて,5年以後も内服を継続することの有効性が検証されてきた。閉経前乳癌においてはタモキシフェン(TAM)の術後10年の内服が再発率減少に寄与することが臨床試験によって示されている1)2)。一方で,閉経後乳癌に対してはMA.17試験により内分泌療法5年終了後に追加の5年間のアロマターゼ阻害薬(AI)の内服追加による有効性が示された3)。しかしこのMA.17では初期治療としてTAMが用いられている症例を対象としたデータであり現在の標準治療方針と異なる。閉経後乳癌は,以前は術後治療としてTAMの5年投与が行われていたが,TAMに比してinitial AI 5年投与の有効性が多くの臨床試験で検証され,現在の標準治療はinitial AI内服,もしくは閉経期であればTAMからAIへのスイッチが推奨されている4)5)。そのため,閉経後乳癌に対するAI 5年投与後の,さらなるAI内服延長については依然として議論の余地があると言える。
今回,AIの内服延長について,①晩期再発リスク減少のエビデンスが乏しい,②ベネフィットを上回る有害事象,③メリットを享受可能な症例が少ない,の3つの観点から「AIは5年投与までとすべき」という立場で論じる。

●本企画「誌上ディベート」は,ディベートテーマに対してあえて一方の見地に立った場合の議論です。問題点をクローズアップすることを目的とし,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません。

論点整理/南博信
・「5年とすべき」とする立場から/岩瀬まどか/岩田広治
「5年以上とすべき」とする立場から/酒井瞳/鶴谷純司

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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