誌上ディベート
甲状腺癌の発癌機序 多段階発癌説の立場から
Thyroid Cancer Explore Vol.2 No.1, 44-48, 2016
「はじめに」本稿にて甲状腺癌の発癌機序について,多段階発癌説の立場からの解説を行う。ただし,はじめに明記しておくが,筆者は甲状腺癌における癌幹細胞の研究も行っており,いわゆる古典的な多段階発癌説を完全に支持しているわけではない。それに甲状腺癌の発癌機序はいまだ全貌が明らかになってはおらず(だからこそこの「Debate」が成立するわけだが),特に新しい論文に関しては追試によって再現性が確認されたものは少ない。よって,本稿には筆者の考える推論が入り込んでいる部分もかなりある。なるべくそこは明記しているつもりだが,読者の皆さんには注意していただきたい。また,本稿では甲状腺濾胞細胞由来の癌について述べ,髄様癌については割愛する。
本企画は問題点をクローズアップすることを目的としており,テーマに対してあえて一方の見地に立った場合の議論であり,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません。
・芽細胞発癌説の立場から/髙野徹
・多段階発癌説の立場から/光武範吏
・両論文に対するコメント/赤水尚史
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。