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誌上ディベート

甲状腺癌の発癌機序 芽細胞発癌説の立場から

髙野徹

Thyroid Cancer Explore Vol.2 No.1, 39-43, 2016

「甲状腺癌のエビデンスは従来の“癌”の常識からかけ離れている」われわれは長らく,癌という病気は正常細胞が癌遺伝子の異常の蓄積で悪性化(プログレッション)して発生すると信じてきた。しかし,近年甲状腺癌においてこの概念を覆す驚くべきエビデンスが出されている。まず,福島原発事故後の福島県「県民健康調査」の結果,未成年において2,700人に1人という驚くべき高頻度で甲状腺癌が存在することがわかった1)。また,微小乳頭癌の長期経過観察でこれらの癌の成長が極端に遅いことが報告された2)。この2つの結果を合わせると,甲状腺癌の発生母地は明らかに成人の正常甲状腺瀘胞上皮細胞ではない。

本企画は問題点をクローズアップすることを目的としており,テーマに対してあえて一方の見地に立った場合の議論であり,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません。

・芽細胞発癌説の立場から/髙野徹
多段階発癌説の立場から/光武範吏
両論文に対するコメント/赤水尚史

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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