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Evidence Explanation

身体活動とうつの発症リスクとの関連性:系統的レビューとメタ解析

渡辺範雄

精神科臨床 Legato Vol.8 No.3, 44-47, 2022

習慣的な運動により,うつ病の予防効果が得られることは複数の研究ですでに明らかになっています。過去の計49件の前向き研究を対象としたメタ解析では,身体活動レベルが低い群と比較して,身体活動レベルが高い群ではうつ病発症のオッズが17%[95%信頼区間(CI):12%-21%]低下することが報告されており1),別のメタ解析でも身体活動によりうつ病発症のオッズ比が21%(95%CI:18%-25%)低下することが報告されています2)。ただ,これまで多くの研究では運動強度や身体活動量を高活動群・低活動群のいずれかに分類してきたため,実際の身体活動量の程度に関する情報が失われ,うつ病リスクの変動との用量-反応関係が得られないという課題がありました。
本研究は,身体活動量とうつ病発症との関連性について,用量-反応メタ解析を実施した初の報告となります3)。また,身体活動レベルを上げることで予防可能なうつ病人口の変化についても評価されました。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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