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Psychiatric Lecture

成因・危険因子 ひきこもりの多軸的評価とバイオマーカー

加藤隆弘早川宏平

精神科臨床 Legato Vol.5 No.3, 17-22, 2019

─ひきこもりはどのように定義されていますか。
いわゆる「ひきこもり」と呼ばれる状態は,1970年代からすでに存在が確認されていました。しかし,「ひきこもり」とはじめて命名されたのは,1998年に発刊された斎藤環氏の著書『社会的ひきこもり』だと思います。同書では,社会的ひきこもり(以下,ひきこもり)は,20歳代後半までに問題化し,「6ヵ月以上」,「自宅にひきこもって社会参加をしない状態」が持続しており,「他の精神障害がその第一の原因とは考えにくいもの」と定義されていました。
その後,2010年に厚生労働省が「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」(厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業,研究代表者 齊藤万比古)を策定しました。そのなかで,ひきこもりはさまざまな要因の結果として「社会的参加(義務教育を含む就学,非常勤職を含む就労,家庭外での交遊など)を回避し,原則的には6ヵ月以上にわたって概ね家庭内にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)を指す現象概念」だとされています。特筆すべき点は,原則として統合失調症の陽性あるいは陰性症状に基づくひきこもり状態とは一線を画した非精神病性の現象としつつも,実際には「確定診断がなされる前の統合失調症が含まれている可能性は低くない」,すなわち,精神障害の併存があるという立場をとっています。現在,わが国ではこの厚生労働省の定義が最も用いられています。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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