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Trends in Psychiatry

古典『Aufteilung der endogenen Psychosen und ihre differenzierte Ätiologie』

──レオンハルト

林拓二

精神科臨床 Legato Vol.5 No.2, 44-48, 2019

カール・レオンハルトはドイツ・バイエルンのエーデルスフェルドで,プロテスタントの牧師の息子として1904年3月21日に生まれました。大学を出てまもなくオーベルバイエルンのガーベルゼー精神病院に勤務し,欠陥統合失調症の疾患像に関する研究を開始しました。それがフランクフルト大学のクライスト教授に注目され,1936年に同大学に招聘されました。そこでレオンハルトは,失語症の研究を通してすべての精神症状を脳局在学の立場から説明しようと試みたウェルニッケ,その脳局在学的立場を踏襲しながら,病因はともかくとして病像や経過と予後を重視して精神病の分類を行ったクライストへと続く学問的伝統のなかで,内因性精神病の分類体系を発展させていきました。こうしたことから,クライストは1950年に退職するにあたり,レオンハルトを後継者として推薦したようです。しかし,第二次大戦後の伝統的なドイツ精神医学への反省もあってフランクフルト大学の主任教授には了解人間学を提唱したツットが就任しました。
その後,レオンハルトはその業績が評価されて1954年にエアフルト医学校の精神神経学の教授に着任,さらに1957年に当時の東ベルリンにあるフンボルト大学精神医学教室(シャリテ)の主任教授に就任しました。その直後に自身の学説をほぼ網羅した『Aufteilung der endogenen Psychosen』の初版を出版しました。以後,レオンハルトは1988年4月23日に84歳でこの世を去るまで患者の追跡調査のためにさまざまな州立精神病院を訪ねて多数の患者を診察し,疾病の経過を生涯にわたり観察し,その成果をもって本書の改訂を重ねていきました。1986年の第6版改訂にあたっては,大規模な調査により内因性精神病の病因論についての新しい知見が得られたことからかなり多くの補足が加えられ,題名にも「und ihre differenzierte Ätiologie」が付け加えられました。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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