Trends in Psychiatry
書籍『地域における多機能型精神科診療所実践マニュアル 乳幼児から成人までの地域包括ケアシステムを目指して』
精神科臨床 Legato Vol.3 No.4, 44-47, 2017
まずはじめに本書のテーマである「多機能型精神科診療所」についてご解説ください。
多機能型精神科診療所とは,地域の必要に応えて活動していくうちに外来診療だけでなく,デイケアや訪問看護,就労支援などの諸機能を徐々に追加し,多機能になった精神科診療所をいいます。この診療所は患者さんが地域で生活するために必要なサービスを提供したり,自分たちで対応できないものについては豊富なネットワークを駆使して紹介,依頼する,いわばよろず屋のようなものです。全国で自然発生的に発展し,形態はさまざまですが,どこも共通しているのは地域の精神保健福祉に責任をもつ姿勢ではないかと思います。
当法人の場合は,「メンタルクリニック・ダダ」と「ダダ第2クリニック」が外来診療と心理カウンセリング,デイケア,ナイトケアを併せもつ診療所であり,福祉部門の「だんだん」では宿泊型自立訓練,ショートステイ,就労移行・継続,地域活動支援センター,就業・生活支援センターなどを,「ひだまりのみち」では就労支援などを,「さんぽみち」では児童発達支援などを行っています。スタッフは福祉職員も含め,非常勤を入れると約200名にのぼり,デイケア・福祉施設ともに定員いっぱいの利用があります。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。