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Evidence Explanation

Most Read Articles in 2016

―双極Ⅰ型障害急性躁病エピソード後の維持治療に新知見―

渡辺範雄

精神科臨床 Legato Vol.3 No.4, 38-39, 2017

2016年のMost Read Articleを取り上げる連載第2回では,双極Ⅰ型障害急性躁病エピソード寛解後の維持治療に関する研究をご紹介したいと思います1)。双極性障害の急性期に気分安定薬と非定型抗精神病薬を併用して寛解した後には,維持治療として気分安定薬を継続することが再発リスクを低減できることは知られていますが,非定型抗精神病薬併用の最適な継続期間については明らかになっていません。再発・再燃を繰り返す双極性障害,特に双極Ⅰ型障害の維持治療において,非定型抗精神病薬を長期間併用した場合の副作用のリスクと,併用によって得られる再発予防効果のベネフィットを評価し,最適な維持治療期間を探るためのエビデンスが求められていました。
本試験はCanadian Network for Mood and Anxiety Treatments(CANMAT)によって実施された介入研究です。CANMATはガイドラインで有名ですが,エビデンスが不足している領域で一次研究を実施し,エビデンスの確立も目標としています。本試験は「双極性障害寛解後の維持治療における非定型抗精神病薬の最適な併用期間は?」という,きわめて臨床的かつ重要な疑問に応えようとするものです。ここではその試験デザインおよび結果,試験の意義と制限などについてご紹介したいと思います。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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