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State of the art 大腸癌取扱い規約 第9版

卵巣転移の進行度分類における位置付け

賀川弘康絹笠祐介

大腸がんperspective Vol.4 No.4, 42-47, 2020

大腸癌取扱い規約において,規約第8版までは卵巣転移は腹膜播種P2,規約第9版から遠隔転移として定義されたが,その根拠は明確には示されていない。卵巣転移の大規模な症例集積による報告は少なく,臨床病理学的特徴や転移形式もまだ明らかではない点が多い。大腸癌卵巣転移について文献的報告,現在進行中のプロジェクト研究の結果も含めて概説する。大腸癌卵巣転移をきたす症例は進行癌が多く,卵巣転移症例の原発巣深達度はT3-T4が98%,また70%の症例で原発巣のリンパ節転移を認める。また,同時性卵巣転移の約50%に腹膜播種を伴う。卵巣転移に対する治療は卵巣切除により予後が改善し,化学療法の奏効率が他遠隔臓器と比べて低いことが報告されており,大腸癌卵巣転移に対して,外科的切除を含めた集学的治療を行うことが治療成績の向上に有効である。卵巣転移の臨床病理学的特徴からは腹膜播種との関連が強く,腹膜播種のGrading別の長期成績の観点から卵巣転移は腹膜播種P1により近似する。
「KEY WORDS」卵巣転移,大腸癌,Krukenberg腫瘍,腹膜播種

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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