画像診断との対比で学ぶ大腸疾患アトラス
Coffee Break
大腸がんperspective Vol.4 No.4, 12-14, 2020
除菌後の胃粘膜生検で胃底腺型腫瘍や低異型度腺癌(本誌第4巻1号 通巻11号のCoffee Breakを参照)の診断に難渋することがある。Endoscopic resection(ER;内視鏡切除)標本では,何でもない胃腺癌であり生検部位にもよるが,日常診断で腺腫や炎症性異型との鑑別が難しく,ついついGroup 2,再検,あるいはGroup 3,腺腫,経過観察で逃げたくなることもある。図1A,Bは,他院での診断はGroup 2,indefinite for neoplasiaであったが,低異型度腺癌でよい。図1Cは生検でGroup 3としたが,ER標本では癌であった。図1Dは生検で癌を疑ったが,急性びらんに伴う炎症性異型であった。急性炎症を背景とした異型診断は,少し間をおいて治療後に再生検することも時に必要である。臨床医と病理医との接点での対話は重要である。図1E,Fは何でもない印環細胞癌である。しかし,生検の一部にある癌を慌てると見逃すので注意がいる。
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