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Catch Up 分子生物学

解明される癌幹細胞の分裂制御メカニズム

池嶋遼高橋秀和原口直紹水島恒和山本浩文土岐祐一郎森正樹

大腸がんperspective Vol.4 No.2, 46-49, 2019

癌幹細胞は静止期に留まっているために,増殖能の亢進した癌細胞の細胞周期を阻害する従来の治療法は効果が乏しく,再発や転移の原因になるとされている。癌細胞は正常細胞と同様に幹細胞を頂点とした階層構造を形成しており,対称性分裂および非対称性分裂によって幹細胞の維持と分化細胞の産生が調節されている。近年,癌幹細胞の分裂制御のメカニズムについてさまざまな報告がなされており,Epithelial-mesenchymal transition(EMT)誘導因子であるSnailはβカテニン-TCF4複合体を介して,microRNA-146a(miR-146a)発現を促進し,miR-146aが非対称性分裂に関与するNumbを制御していることが報告された。また,microRNA-34a(miR-34a)とNumbが,Notchの転写の促進・抑制によって,炎症や癌化などの細胞増殖が促進された状況でも幹細胞を一定に維持する方向に幹細胞の分裂様式をコントロールしていることが明らかとなった。癌幹細胞の分裂制御メカニズムの解明は癌幹細胞標的治療の開発に重要な役割を果たすと考えられ,今後のさらなる展開が期待される。
「KEY WORDS」癌幹細胞,非対称性分裂,Snail,miR-146a,Numb,miR-34a

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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